
家具付き賃貸で不動産富裕税が免除される条件
2018年1月1日からそれまでの富裕税 (impôt sur la fortune, ISF) に代わって制定された不動産富裕税 (impôt sur la fortune immobilière, IFI) は、130万ユーロ(*日本円で約2.2億円)以上の価値があり、本人、またはその家族が職業を営むために使っていない不動産資産に課される富裕税である。
例外として、本人、またはその家族が職業を営むために使っていなくても、その不動産資産が家具付きで賃貸に出され、課税世帯が « LMP – Loueur de meublé professionnel »(直訳すると「家具付き物件専門家主」)と見なされるほどの賃貸所得を得ている場合には、不動産富裕税が法律上全額免除となる。
フランスの租税法では課税世帯が « LMP – Loueur de meublé professionnel »のカテゴリーに属するための条件を以下のように規定している(一般租税法第964条):
1. 家具付き賃貸であること
2. 課税世帯が年間23 000ユーロ以上の賃貸収入があること
3. 課税世帯の賃貸収入が全所得の半分以上を占めること。
この条件が見なされない場合には、家具付き賃貸の家主はLMPではなく、 « LMNP=loueur de meublé non professionnel»(直訳すると「家具付き物件非専門家主」)として位置づけられ、不動産富裕税の免除は受けられない。
家具付き賃貸はフランスの住居法で詳しくその条件が定められており、借主が通常の生活をするに必要な数と質の家具を備えていなければならず(1989年7月6日法第89-462 号、25‐4条)、具体的に備えることが義務づけられている家具のリストが政令で規定されている(2015年7月31日政令第2015-981 号、2条)
以上をまとめると、LMP=「家具付き物件専門家主」として税制優遇を受けるためには以下の3つの条件を満たさなければならない:
1. 賃貸収入が年間23 000ユーロ以上であること
2. 賃貸に伴って発生する必要経費を差し引いた賃貸収入の額が課税世帯の所得額の50%以上である (給料や手当、その他の収入の合計額より大きい)こと
3. 1989年7月6日法で定められた条件を満たす家具付き賃貸であること。
この3つの条件を全て満たす場合、居住目的の物件でも事実上職業目的の物件に準じて扱われ、オーナーは一般租税法第975条の適用により不動産富裕税の全額免除を受けることができる。