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遺書書を撤回する条件

(控訴院民事部第1院2015年8月7日判決、上告番号14-18875)

遺言書には大きく分けて遺言者が手書きで書いた自筆証書遺言と公証人のもとで作成された公正証書遺言とがあるが、遺言書の内容を撤回するためには、自筆証書の遺言の場合には新しい遺言書を作成し、公正証書の遺言の場合には古い遺言書の内容を変更する宣言を二人の公証人、または一人の公証人と二人の証人のもとで行う必要がある(民法1035条)。

遺言者が遺言を撤回していないが、遺言を作成後にその遺言の内容と矛盾する贈与を行った場合には、遺言書と贈与どちらが有効となるかが問題となる。この点破棄院は2007年7月4日の判例(上告番号05-16023)で、暗黙的な遺言の撤回は以下の3つの場合に可能であるという原則を打ち出している:

1.内容の矛盾する複数の遺言書がある場合(民法1036条)

2.遺贈する財産がすでに処分されている場合(民法1038条)

3.自筆証書の遺言書を破棄した場合

遺言書が重要な性質をもつことから、遺言者が新しい遺言書を作成、または公証人の下での宣言の形で遺言を撤回していない場合には、この3つの場合のみに遺言者が暗黙的に遺言を撤回したと見なされ、それ以外の場合には遺言書の内容が実行される。

本判決ではこの原則が新たに確認され、遺言で遺贈した財産の用益権(:財産を使用し、そこから利益を得る権利。不動産資産の賃料など)を生存中に贈与した遺言者について、遺言者の意図は遺言書の内容を暗黙的に変更したため財産の遺贈は無効であると判示した控訴院判決が破棄された。

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