ブログ 化粧品分野における消費者保護

永澤 亜季子

 

日々の暮らしでフランスと日本の社会の違いに気づく機会は多いが、私達に欠かせない化粧品産業の分野で特に、メーカーと消費者の関係の日仏の大きな違いを感じらせられることが多い。

フランスでは一般的に言って、日本よりも消費者が商品について情報を持っている。化粧品に関しては、若い世代も含めて一般市民が化粧品に使われている成分のうち危険なものについてより知識を持っており、自分に合った化粧品を、時間をかけて選ぶ傾向がある。ロレアルやシャネルのような大きな会社では有名な女優を広告に載せることがあるが、パリで目にする化粧品広告の大部分はそれと並行して、一般には知られていない無名のモデルや、またモデルを載せずに商品のみの写真や、商品の写真と商品の特徴に関する説明書きのみを載せた大企業の広告も数多い。

一方日本では大きな化粧品会社は広告に人気のタレントを載せることで消費者を惹きつけようとしていることが多い。テレビの化粧品CMではだれもが知っているタレントが出演し、ポスター広告ではそうしたタレントの写真がキャッチフレーズとともに大きく載せられ、商品自体の特徴に関する情報はほとんど記載されていない。そしてそうした人気のタレントが出ていることに惹かれて化粧品を買う消費者も数多い。

例えばある化粧品会社のシャンプーの広告で、女性の人気タレントを複数起用して、「日本を代表する女性たちが“(商品名)”を彩ります」というキャッチフレーズを載せた広告。フランスではこのような広告はあまり流行らないどころか、マーケティングの見地から逆効果だと思われる。もしロレアルが複数のモデルの写真を載せたポスターに、フランスを代表する女性たちが自社の商品を彩る、と書いたら、消費者団体からボイコットされるのではないか。モデルの知名度と化粧品の質とは関係がなく、またそうした女性達が商品を「彩る」という表現も、こちらでは女性を商品のレベルに下げる(オブジェ化する)ものとして許容されないからである。いずれにせよ商品の性質と全く関係のないメッセージの使用は、化粧品の広告では認められない。

しかしこのように有名人の写真を大きく載せて、商品の性質や機能とは直接関係のない、短いキャッチフレーズ (:例えば「敏感を愛そう」「肌がきれいなら女は無敵」「きれいなお姉さんは好きですか」等) を載せた化粧品や美容機器の広告は、日本ではとても人気が高い。この種の広告はテレビで、地下鉄で、大きなドラッグストアで数多く見かけられ、巷ではよく誰がどの化粧品の広告に出ていたかが話題になる。

従って一般的に、フランスの消費者は化粧品の広告に書いてあることにより注意する傾向があり、日本の消費者は化粧品の広告に誰が出ているかにより注意する傾向がある、だからこそ日本の化粧品広告には製品の質や効能について情報があまり記載されていないといえる。こうした日仏の化粧品広告のありかたの違いは、確かにフランスと日本の文化、社会意識の違いを表していると言えるが、しかしそれと同時に、化粧品産業と消費者との関係が日本ではまだ対等でないことも原因ではないかと思う。日本では消費者団体が活動資金に不足しているため、企業の活動に対して大きな牽制力を持つことができず、同時に化粧品広告の規制や消費者に対する危険な化粧品成分の存在に関する情報の提供の分野で、立法府や行政府のイニチアチブがまだ不十分であるため、結果として、一般消費者が化粧品を買うにあたって自分に合った製品か否かを十分に判断することができずにいるのではないか。

フランスは日本の一番の化粧品輸入先であるが、化粧品産業を規制する法制度や消費者団体の活動は大きく違う。こうした事情を実感するにつれ、フランスにおける化粧品に関する法律と消費者団体の活動について、日本に紹介したいと思うようになった。

 

(概要)

フランスの化粧品に関する法律
1. 化粧品の製造と販売に関する規則
2. 毒性検査における動物使用の禁止に関する規則
3. 化粧品の広告に関する規則

化粧品分野におけるフランスの消費者団体の活動
1. 消費者団体に対する国からの資金援助
2. UFC-Que Choisirの化粧品分野での活動

フランスのオーガニック化粧品市場と成分規制
1. フランスでオーガニック化粧品市場が発展した要因
2. フランスでのオーガニック化粧品の成分規制

 

(フランスの化粧品に関する法律)

1. 化粧品の製造と販売に関する規則

フランスでは化粧品の製造と販売は70年代から規制されている。そのきっかけとなったのはMorhangeタルク事件。Givaudan社が製造していたベビーパウダーの工場でタルクにヘキサクロロフェンという強力な殺菌剤が混入し、70年代初期にフランスで数多くの赤ちゃんが死亡した事件である。ジャック・シラク内閣の厚生大臣シモーヌ・ヴェイユ (Simone Veil) の提案により、1975年7月10日、ヨーロッパで初の化粧品の製造と販売を規制する法律が制定された(1975年7月10日法第75-604)。この法律は1976年7月27日の政令で具体的なルールが定められたが、1976年7月27日に欧州理事会で制定された欧州指令(76/768/CEE)のモデルとなった。

この1976年の欧州化粧品指令で制定された加盟国各国の法制度は2009年11月30日に化粧品に関する規則1223/2009(以下 « 化粧品規則 ») として統一化され、現在EU28加盟国及び欧州自由貿易連合(EFTA)3か国(アイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン)で適用されている。

EU化粧品規則の規定はフランスでは公衆衛生法典 (Code de la santé publique)で補完されており、化粧品産業によるEU化粧品規則の順守は国立医薬品医療機器安全センター (Agence nationale de Sécurité du Médicament et des produits de santé (ANSM) )、及び競争・消費・詐欺防止総局 (Direction Générale de la Concurrence, de la Consommation et de la Répression des Fraudes (DGCCRF)) により監視されている。

新しい化粧品をフランス市場で売るに際して守らなければならない規則は以下の通りである:

 

販売開始前の義務

1)  ANSMへの届出

医薬品と違い、化粧品を販売する際には事前の許可は必要ないが、化粧品を製造・梱包する会社は設立時に必ずANSMに届け出なければならない(公衆衛生法典L5131-2条、R5131-1条)。ANSMのウェブサイトでは届出フォームと手続の説明をダウンロードすることができる。

2) 責任者の指名(化粧品規則第4条、第5条)

フランスで販売を予定している化粧品全てそれぞれについて、EU圏内に居住する個人または法人を「責任者」として指名しなければならない。この責任者は化粧品の製造者、輸入者、販売者(デパートやスーパー、化粧品専門店が自己のブランドで商品を販売している場合)のいずれかで、販売される化粧品が化粧品規則の条項を遵守して製造された、人体に安全なものであることを保証し、責任を持つ義務を負う。

具体的にこの「責任者」が責任を持つべき化粧品製造に関する規則とは、以下の (i)化粧品成分に関する規則(ii) 化粧品に関する報告書の作成義務(iii)化粧品の包装に関する規則 (iv) 欧州委員会への報告義務である。

3) 化粧品成分に関する規則の順守(化粧品規則第14条)

化粧品の「責任者」は、販売する化粧品が化粧品規則で規定された成分規制を守ったものであること、具体的には
付属書IIに記載されている配合が禁⽌されている成分を使用していないこと
付属書IIIに記載されている配合が制限されている成分についてその制限を守っていること
付属書IV、V、VIに記載されている⾊素・防腐剤・紫外線吸収剤以外の⾊素・防腐剤・紫外線吸収剤を使用していないこと

を保証しなければならない。付属書IIIからVIには、それぞれの成分について配合が認められる最大量と使用方法、また義務的に化粧品の包装に記載しなければならない事項が記載されている(例えばサリチル酸について、「3歳以下の幼児には使用しないこと」など)。

4) 商品に関する情報ファイルの作成(化粧品規則第10条、第11条)

化粧品の「責任者」は、各商品について、その商品に関する詳しい情報を記載したファイル(製品情報ファイル、DIP(仏) / PIF(英))を作成し、監督機関の要請に応じてその情報を開示しなければならない。

情報ファイルに記載が義務づけられている事項は以下の通りである:
a) 当該化粧品に関する説明
b) 安全に関する報告書(* 資格のある薬剤師が作成したもの)
c) 製造方法に関する説明と製造における「ベストプラクティス」を果たしたことの宣言
d) 当該化粧品が持つとされている効果の証明
e) 当該化粧品の製造において動物実験を行っていないこと、および原材料や最終製品の仕⼊先にも動物実験を⾏う企業は無いことの証明

化粧品製造における「ベストプラクティス」はISO 22716に規定されている。

5) 商品の包装に関する規則の順守(化粧品規則第19条)

化粧品の容器と包装には義務的に以下の事項を記載しなければならない:

  • 当該化粧品の「責任者」の名前と住所
  • EU圏外からの輸入品の場合には輸入先の国の名前
  • 梱包時の重量または容量
  • 保存期間が30か月以下の製品には使用期限
  • 保存期間が30か月以下の製品には開封からの使用期限
  • 使用上の注意
  • ロット番号
  • 製品の機能
  • INCI名で記載された成分のリスト、使用量が多い順に記載

例えば image1 のマークが容器に記載されている場合、その化粧品は開封時から6か月保存できるという意味である。一方未開封で保存期間が30か月未満の製品には砂時計のシンボル image2  の後に、使用期限が« Best before… » ou « Préférence avant fin… »または日付(ex. 03/21=2021年3月など)の形で記載される。

6) 欧州委員会への報告(化粧品規則第13条、第16条)

化粧品の「責任者」はその化粧品の販売を開始する前に、欧州委員会に製品に関する以下の情報を、CPNP (Cosmetic products notification portal) というポータル上で送付しなくてはならない。

  • 化粧品のカテゴリーと商品名
  • 商品に関する情報ファイルを保管している「責任者」の名前と住所
  • 輸入の場合には輸入先の国名
  • 商品が販売される国名
  • 連絡先
  • ナノマテリアルを成分に使用している場合には成分名と予測される影響
  • 発がん性、突然変異性、繁殖毒性がある成分を使用している場合には成分名とCAS またはCE 番号
  • 成分の構成

化粧品の「責任者」はまた欧州委員会に容器のラベリング、及び包装の写真を送らなければならない。

 

販売開始後の義務

« Cosmetovigilance »

EU化粧品規則では化粧品産業が販売する製品の安全性を常に検査、保証し、問題があった場合に早急に対処する義務を« Cosmetovigilance »と呼んでいる(化粧品規則第23条)。

2017年3月13日以降、« Cosmetovigilance »は化粧品産業のアクターだけではなく医療関係者(医師、薬剤師、看護婦等)や消費者、美容産業関係者にも広げられ、フランスでは厚生省のウェブサイトで化粧品や医薬品の問題、事故やリスクについて警告することが可能となっている。

化粧品規則の順守を監督するANSMとDGCCRFは定期的に製造業者や販売業者を点検し、販売されている製品が消費者に害を与える可能性がある場合には販売停止等の処置を命じている。

 

2.  毒性検査における動物使用の禁止に関する規則(化粧品規則第18条)

EUでは化粧品の毒性検査における動物の使用が完全に禁止されている。

化粧品規則は化粧品産業に禁止される行為を以下のように定義している:

  • 製造の最終段階で動物が検査に使われた化粧品の販売
  • 毒性検査で動物が使われた成分を含む化粧品の販売
  • 製造された化粧品の毒性検査における動物の使用
  • 化粧品の成分(調合された成分を含む)の毒性検査における動物の使用

EUでは化粧品規則で確立された動物使用の完全禁止原則を世界全国に広める動きが高まっており、2018年5月3日には欧州議会でそのような国際条約を国連で提案するための決議が圧倒多数(620票対14票)で可決された(決議を読む)。
EUの化粧品規則の準じた動物使用の完全禁止原則はアメリカではカリフォルニア州で州法として導入され、The California Cruelty-Free Cosmetics Act して2020年1月から施行される。

 

3. 化粧品の広告に関する規則 

フランスでは化粧品の広告は1974年から自主規制機関、BVP (Bureau de vérification de la publicité、広告審査局)により倫理規則が制定され、定期的にアップデートされてきた。BVPは2008年にARPP(Autorité de régulation professionnelle de la publicité、広告規制機構)となったが、化粧品広告に関する倫理規則は2019年5月22日に第8版が定められ、2019年7月1日から施行されている。

化粧品規則第20条は虚偽広告禁止の原則を定めている。
化粧品広告で記載できる表現については、2013年7月10日の欧州委員会規則n°655/2013(« 広告表現規則 »)で、化粧品広告の中で使うことができる表現の審査基準として、適法性、証明可能性、真実性、誠実性、平等性を定め、消費者が化粧品の広告からその化粧品の効能効果について正しい知識が得られるよう保証している。

これらのEU規則を適用して、化粧品産業の広告を審査するのはARPPである。フランスの広告規制機構ARPPは、企業ではなく、広告代理店とメディア(テレビ、新聞、ラジオ、映画、インターネット)の代表者から構成され、会長職は独立した人物、主に政治家(現在はフランス会計院裁判官のFrancois d’Aubert)に与えられている。

「適法性」の基準については、ARPPは例えば化粧品業者が商品のパッケージやラベルに« non testé sur animaux »(動物を使った検査なし)という表現を記載することを禁止している。ヨーロッパでは動物実験は完全禁止されており、製造者は単に法律の規定に従っているだけであるからである。

また化粧品の広告では日本と同じく、化粧品の効能効果を超える治療的、医療的な表現を使うことができない。ARPPにより不適と判断された表現は例えば以下のようなものである(レポートを読む):

  •  「皮膚の免疫力を高める」(資生堂)
  •  「よく眠れ」(ロクシタン)
  •  「かかとのひび割れの痛みをなくす」(Mavala)
  •  「ニキビを抑える」(アベンヌ)

その他アンチエイジングの製品では「若返り」効果を宣伝することはできず、育毛剤では抜け毛を抑えるという効果を広告に記載することはできないなど、特定の用語についてその使用に関するルールがARPPの広告基準に詳しく定められている。

また化粧品の広告で効能効果を宣伝する場合には、必ずそれが証明できるものでなくてはならない。具体的には化粧品の「責任者」が保管している製品情報ファイルに製品の効果を証明するテストの結果が含まれていなければならない。そのような証明がない場合には、広告主は効能効果の宣伝を広告から削除するようARPPから勧告される。

また製品の効能効果が数字で裏付けられている場合(例えば…%毛が伸びた、など)、行われたテストの性質に対応するか、テストの結果の平均値が記載されているかが審査され、実際に行われたテストと広告上の記載が一致しない場合には記載の削除が命じられる(レポートを読む)。

フランスではここ15年ほど従来の産業化粧品の危険性がメディアで騒がれ、消費者の間で自然派化粧品の人気が高まり続けており(後述)、化粧品会社は競って商品のパッケージに「…不使用」、特に「パラベン不使用」「シリコン不使用」「硫酸塩不使用」等の記載をするようになったが、こうした記載が消費者にとって化粧品の成分について間違った情報を与える(例えば「パラベン不使用」として販売される多くの「自然派」を謳った化粧品には、EUで使用が認められているパラベンよりも刺激性の強いメチルイソチアゾリノンなどの防腐剤が含まれていることがある)として、2019年7月1日から化粧品のパッケージに特定の成分が「不使用」である旨の記載をすることが禁止された(記事を読む)。

このように、化粧品の広告について化粧品会社による薬事法、医薬品等適性広告基準の順守を各都道府県が監督している日本と違い、フランスでは国で一つの機関が、EU法で定められた規則に基づいて虚偽広告・誇大広告の防止を図り、化粧品業界の監督と消費者に対する正しい情報の提供を図っている。

 

(化粧品分野におけるフランスの消費者団体の活動)

1. 消費者団体に対する国からの資金援助

フランスには、消費者庁(Conseil national de la consommation)により公認された適格消費者団体が15つある。これらの適格消費者団体は、消費者の利益を代表してクラスアクション(集団訴訟)を提起する資格があり、また消費者庁や濫用条項取締委員会(Commission des clauses abusives)、公正取引委員会(Autorité de la concurrence)などの国の機関で消費者を代表して意見を述べる権利を持つ。フランスで適格消費者団体として認可を受けるためには、10000人以上の会員がいなければならない。

日本では消費者団体に対する国の資金援助がないため、消費者団体は運営資金を会費と寄付に頼らざるをえない状況にあるが(日弁連のレポート)、フランスでは国家予算に消費者団体に対する補助金が常に含まれており、2018年の15適格消費者団体に対する補助金額は3,100万ユーロ(日本円にして約3億6,700万円)である。国の補助金は各団体の規模に比例して分配され、その内訳は以下の通りである :

  • ADEIC (Association de Défense, d'Éducation et d'Information du Consommateur) : 79 388 €
  • AFOC (Association Force Ouvrière Consommateurs) : 291 662 €
  • ALLDC (Association Léo Lagrange pour la Défense des Consommateurs) : 89 435 €
  • CGL (Confédération Générale du Logement) : 81 982 €
  • CLCV (Confédération de la Consommation, du Logement et du Cadre de Vie) : 458 451 €
  • CNAFAL (Conseil National des Associations Familiales Laïques) : 101 015 €
  • CNAFC (Confédération Nationale des Associations Familiales Catholiques) : 64 093 €
  • CNL (Confédération Nationale du Logement) : 185 512 €
  • CSF (Confédération Syndicale des Familles) : 291 327 €
  • FAMILLES DE FRANCE : 254 138 €
  • FAMILLES RURALES : 390 528 €
  • FNAUT (Fédération Nationale des Associations d'Usagers des Transports) : 26 013 €
  • INDECOSA-CGT (Association pour l'Information et la Défense des Consommateurs Salariés de la CGT) : 145 699 €
  • UFC-QUE CHOISIR (Union Fédérale des Consommateurs -Que Choisir) : 586 149 €
  • UNAF (Union Nationale des Associations Familiales) : 74 847 €

TOTAL3 120 239 €

出典 : DGCCRF

 

2.  UFC-Que Choisirの化粧品分野での活動

フランスで最も古く、大規模の消費者団体はUFC-Que Choisir (消費者連盟、何を選ぶか)である。1951年に創立され、現在フランス全土に146の支部を持つ。会員の数は150,000人以上。ボランティアで働く約4,000のメンバーが、各支部で消費者の相談に応じ、問題のある商品や商行為の取り調べを行い、定期的にアトリエを開いて消費者に対するさまざまな情報の提供を図っている。年に取り扱う被害件数は50,000(団体紹介ページ)。各産業分野で企業に対して提起した集団訴訟に関する情報はUFC-Que Choisirのウェブサイトで得ることができる。

Que Choisirは1961年から月刊誌 « Que Choisir » を刊行しており、様々な製品の比較テストや安全性調査の結果を公表している。同誌の販売冊数は平均月に406.393冊(2018)。また月刊誌 « Que Choisir »と並行して3か月に一度発刊される季刊誌も複数あり、« Que Choisir Argent »は貯蓄や投資の分野で、« Que Choisir Santé »は医療の分野で、« Que Choisir Pratique »はその他様々な分野で、消費者に役に立つ情報を提供している。

化粧品の分野では、Que Choisir は複数比較テストを公表し、2016年以降継続して消費者に人気の高い化粧品に含まれる有害成分、内分泌攪乱物質やアレルギー性物質の詳しい調査と取り調べの結果を公表した。

これらの調査結果は189,555 (2019年夏現在)もの化粧品をカバーしており、消費者は日々アップデートされるQue Choisir のサイト上で各製品の種類に応じてリスクの低い製品と高い製品を知ることができるほか、化粧品の商品名やブランド名を検索欄に入れることで、化粧品に含まれている全ての成分と、成分それぞれの人体へのリスクの度合いについて、年齢層(赤ちゃん-幼児-妊婦-成人) に応じた詳しい情報を得ることができる 。特にリスクの高い成分 (赤色で示された « D » カテゴリー) については詳しい説明が加えられている。

Que Choisir はまた携帯電話のアプリケーションとして« Quel Cosmetic »を開発し、App StoreとGoogle Playから無料でダウンロードできる。このアプリケーションには、商品のバーコードリーダー機能が付いており、消費者は化粧品店、薬局、スーパー等どこでも、買おうとする化粧品のバーコードをスキャンしてその安全性を確かめることができる。«Yuka»と並んでパリではかなり一般化しているアプリケーションである。

 

(フランスのオーガニック化粧品市場と成分規制)

1. フランスでオーガニック化粧品市場が発展した要因

フランスではこうした消費者団体やメディアによる従来の化粧品の危険性についての調査や告発、またLa vérité sur les cosmétiques 等の化粧品成分に関する情報を集めたサイトやブログの発展により、消費者が化粧品産業の在り方と化粧品の製造に使われている成分についてより情報を持つようになり、安全性が高い製品を選んで買うようになった。

2000年代からフランスではオーガニック化粧品の市場が飛躍し、一方従来の化粧品会社は次第に自然派志向で「植物由来成分配合」、「…不使用 / 0%」をうたった製品を多く開発するようになり、ロレアルまでスーパーでオーガニック化粧品ブランド(«La Provençale bio» など)を売るようになっている。

オーガニック化粧品はオーガニック食品の専門店(« Biocoop »、 « La Vie Claire »、 « Naturalia » 、« Bio C Bon »等)、薬局やドラッグストア、一定の化粧品専門店(Marionnaud、 Nocibé)、そしてオーガニック化粧品の専門店(Mademoiselle bio)や自然志向の雑貨店(Nature & Découverte)、そしてインターネットで販売されている。売上高がトップのブランドはWeleda (本社スイス), Melvita (フランス)、Cattier (フランス)、Dr. Hauschka (本社ドイツ)。

 

2. フランスでのオーガニック化粧品の成分規制

フランスでは消費者保護の観点から、オーガニック化粧品の成分を規制する動きが早くから広告規制機関と規格認証機関で高まった。

ARPPは化粧品広告の倫理基準の中で、自然派化粧品とオーガニック化粧品について以下の基準を設けている:

  • 「自然派」化粧品:95%以上の天然成分を使用していること
  • 「オーガニック」化粧品:100%以上のオーガニック成分を使用しているか、またはオーガニック規格認証機関から認証を受けていること。

フランスで1991年に設立されたオーガニック認証機関であるエコサート(Écocert)と、2002年に設立されたオーガニックコスメの認証機関であるコスメビオ(Cosmébio)がそれぞれ、オーガニック化粧品の認証基準を設け、基準を満たした化粧品の容器にラベルを表示させている:

image3 image4

- 製品の全成分の最低95%が天然成分であること
- 植物由来の成分全ての最低95%が有機栽培で作られた成分であること
- 製品の全成分の最低10%が有機栽培で作られた成分であること

- 植物由来の成分全ての最低95%が有機栽培で作られた成分であること
- 製品の全成分の最低10%が有機栽培で作られた成分であること

 

 

ヨーロッパではフランス(CosmébioとÉcocert)、ドイツ(BDIH)、イタリア(ICEA)、イギリス(Soil Association)のオーガニック認証機関が共同して、COSMOS (COSMetic Organic Standard、コスモス)という認証基準を開発し、2017年1月1日以降新しいオーガニック化粧品はコスモス認証基準を満たしていることが義務づけられている(COSMOS Organicラベル)。

image5 

  • コスモスの認証基準 :

- 製品の全成分の最低95%が天然成分であること
- 有機成分となりうる成分全ての最低95%が有機栽培で作られた成分であること
- 製品の全成分の最低20%(洗い流す製品の場合には10%)が有機栽培で作られた成分であること

 

その他フランスで販売されているオーガニック化粧品の容器に付けられる認証ラベルには以下のようなものがある:

- エッシェンシャルオイル、植物油:ABラベル(有機農業)   image6

- 環境、持続可能な発展と関連したラベル:NaTrueラベル image7など) 

- 動物を使用した検査を行っていない、及びまたは動物に由来する成分を含んでいないことに関するラベル (One Voiceラベル image8image8-5PETAのCruelty Freeラベル image9、Cruelty Free Internationalのリーピングバニーラベルimage10…)、 Vegan SocietyのVeganラベルimage11、など)。

 

ISOが2016年、2017年に制定した化粧品の自然及びオーガニック化粧品に関する基準(ISO 16128)は、全成分の最低50%が天然成分であれば自然派化粧品として販売していいなどフランスのオーガニック化粧品に関する基準よりはるかに緩やかな基準を設けているため、Cosmébioをはじめとする数多くの団体やオーガニック化粧品の製造者が消費者にISO 16128に基づいた「自然派」化粧品のリスクに注意し、認証ラベルのついた自然派化粧品、オーガニック化粧品を選ぶよう呼びかける記事やビデオをサイト上に掲載している(記事を読む)。

 

 

 

レファレンス

書籍

Christophe Roquilly, Le droit des produits cosmétiques, Economica (1991)

Jean-Christophe Janicot, INCI BEAUTY - Bien choisir ses produits cosmétiques, Larousse (2019)

Rita Stiens, La vérité sur les cosmétiques, LEDUC.S (2012)

Les Échos études - Le marché et la distribution des cosmétiques bio et naturels (2019)

論文

Laure Crestey, Evolutions de la réglementation des produits cosmétiques et impacts sur l'évaluation de la sécurité pour la santé humaine, Université de Caen (2011)

ウェブサイト

Fédération des entreprises de la beauté (FEBEA)

L’Agence nationale de sécurité du médicament et des produits de santé (ANSM)

Direction générale de la concurrence, de la consommation et de la répression des fraudes (DDCCRF) 

L’Observatoire des cosmétiques

Autorité de régulation professionnelle de la publicité (ARPP)

Conseil paritaire de la publicité (CPP)

Actualité Parlement européen

Institut national de la consommation

Cosmétic Ingrédient Database

厚生労働省

東京都福祉保険局

日本広告審査機構 (JARO) 

日本化粧品工業連合会