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フランス知財法解説

 

グーグルアドワーズの民事責任 :ホスティングサービス責任制限条項の適用
要旨:検索サイトに欧州指令2000/31の規定が適用されるとした2010年3月23日の欧州司法裁判所判決以降、フランス裁判所はグーグル社がグーグルアドワーズの広告表示について訴えられる場合に、一貫してグーグル社に2004年6月21日のLCEN法で規定されたホスディングプロバイダーの責任制限を適用し、グーグル社は違法なキーワード使用について通知を受けてから直ちにその広告を削除またはアクセス不可能にすれば、被害者に対して損害賠償責任を負わないという立場を取っている。本件では損害賠償請求の根拠について従来の商標権侵害、不当競業、虚偽広告、不法行為に加えて新しく占有者責任の規定が裁判所に提示された。
グーグルアドワーズによる商標権侵害訴訟

要旨:グーグル社のアドワーズで広告主が他者の登録商標をアドワーズの検索キーワードとして選択している場合、そうした違法な行為を防止するために必要な措置を取らず登録商標が指定している商品と同一または類似の商品やサービスに関する広告を掲示しているグーグル社に対して商標侵害、不当競業、虚偽広告が成立するかが問題となった事件で、2005年以降フランス裁判所はグーグル社の責任を認める判決を下すが、不当競業、虚偽広告に加えて商標侵害が成立するかについて判例が一致していなかった。そのため2008年5月フランス破棄院は欧州司法裁判所に先行判決を申請し、2010年3月23日に下された欧州司法裁判所の判決は、以後フランス裁判所のグーグルアドワーズに関する事件に関する判例を統一させるもととなった。

不当競業訴訟に基づく損害賠償請求が知財侵害訴訟で認められる条件

要旨:知的所有権侵害が同時に競争相手企業による不当競業を構成する場合には、不当競業に基づく損害賠償請求を知的所有権侵害訴訟と同じ訴訟の中で行うことができるが、その場合権利者は知的所有権侵害とは別の侵害者の過失を証明する義務がある。商標権利者の損害賠償請求が商標権侵害の事実のみに基づいている場合には、不当競業に基づく損害賠償請求は認められない。

フランスの知財侵害訴訟事情
要旨:日本では、海外での知財戦略というと、盗用行為を防ぐための知的財産の権利化とその運用に重点が置かれがちである。しかし、権利化された知財があえて盗用された場合の訴訟戦略については、各国における司法制度の複雑さ、そして日本人が訴訟をあまり好まないことから、多くは紹介されていないように思われる。しかし、知財侵害訴訟は迅速かつ効果的に進めることによって、かなりの経済的効果を望むことのできる訴訟であり、日本人は「知財を活かす」ことだけでなく、「知財訴訟を活かす」ことも重視すべきである。
フランスの知財侵害訴訟における損害賠償
要旨:フランスでは、エンフォースメント指令を国内法化する2007年10月29日法の施行以来、知財侵害訴訟で裁判所が侵害者に対して支払いを命じる損害賠償の額が増加した。以前は損害賠償額の算定にあたり、権利者が実際に受けた損害額のみをその基準としなければいけなかった。しかし、同法以後は権利者が実際に受けた損害だけでなく、侵害者が侵害品の販売により得た利益を考慮することができるようになり、さらに権利者が受けた精神的損害も損害賠償額に加えられることができるようになった。
企業における社員の著作権と著作権譲渡契約の重要性
要旨:「社員がその職務上製作した著作物は当然雇用主である会社のものとなる」、という「職務著作」の観念が当然とされている日本では驚かれるかもしれないが、フランスでは「著作権は職務上製作された作品、職務外で制作された作品を問わず創作の時点でその作者である社員のみに帰属し、法人である企業は著作者とはなりえない」、というのが原則である。フランスでは「職務著作」の場合にも、会社が社員の著作物を使用しようとする場合には、社員に給料とは別の報酬を支払って著作権の譲渡を受けなければならない。
香水の知的財産権による保護
要旨:世界の香水市場を率いるフランス香水だが、有名な香水の偽造品も多く、シャルル・ド・ゴール空港の税関で差し止められている偽造香水の数は、毎年27万個以上に上る。こうした中で、著名な香水の偽造品を防ぎ、偽造者を処罰するために、香水を知的財産権でどのように保護するかは、数年にわたりフランスの裁判所で議論されてきた。しかし、香水の“香り”は知的財産権では保護されず、知的財産権で保護されるのは香水の名前とボトルだけであるというのが、フランス最高裁である破棄院の現在の立場である。
フランス映画スターのギャラと実演家の著作隣接権譲渡のルール
要旨:なぜ欧米の映画俳優は何億円もの収入を得て、自家用飛行機を何台も持ったり島をいくつも買ったりできるのであろうか。それは、映画会社と結ぶ出演契約の際、必ず出演料とは別個に、映画の興行収益やその後のDVDの売上げに比例した歩合報酬が定められているからである。出演契約の際のこの歩合報酬の設定はフランス法では義務であり、それに反した報酬体系は違法とされる。
フランスとヨーロッパにおけるバイオ特許
要旨:バイオ企業がその研究開発投資の成果として経済的に発展していくことができるためには、バイオ関連発明を知的財産として法的に保護することが不可欠であるが、ヨーロッパでは、欧州特許庁(EPO)、内国特許庁共に、バイオ関連発明に対する特許出願に対し厳格な倫理審査基準を設けているため登録が難しいことが問題となっている。
ヨーロッパでの近現代美術作品の売買における「追求権」
要旨:追求権(仏:Droit de suite、英:Resale Right)とは、図表・造形美術(絵画や彫刻など)の作者である芸術家の著作権の一つで、芸術家が、自分の売った作品が他の者により転売されるごとにその売価から一定比率の報酬を受けることができるという権利である。ヨーロッパでは2001年9月27日の指令により全EU諸国に追求権が制度化された。
フランスと欧州におけるソフトウェア特許
要旨:フランスをはじめヨーロッパでは、ソフトウェアそれ自体に関する発明は特許を受けることができないというのが原則である。しかしながらプログラムの基となるアイデア(アルゴリズム)は著作権で保護されないことから、ソフトウェア産業による多くの特許申請がなされた。日米両特許庁におけるソフトウェア特許の認可の動向を受けて、ヨーロッパでも次第に判例でソフトウェア関連発明に特許を与えるため法律の条文を拡大解釈するための基準が設けられるようになってきている。