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フランス労働法解説

 

従業員の重過失:使用者が解雇手続に迅速に着手する義務

要旨: 重過失は「従業員が職場で勤務を続けることを不可能にするほど重大な過失」で、解雇される従業員は解雇補償金と予告期間代替補償金の支払いを受けることができない。判例では重過失で従業員を解雇する使用者は、当該従業員の重過失を知ってから遅滞なく解雇手続を行わなければいけないというルールが打ち出されている。実際に使用者が従業員の重過失を知ってから何日の期間で解雇手続を始めれば正当な重過失による解雇として認められるかについては裁判所がケースバイケースで判断するが、従業員の過失の重大性が大きい場合には1か月おいた解雇でも正当な重過失の解雇として認められる。

有期雇用契約終了における労働者助言員の保護(破棄院2021年7月7日判決)
要旨 : 労働者助言員(conseiller du salarié)は従業員数が11人以下で従業員代表(représentants du personnel)がいない小規模企業における労働者の解雇手続で、労働者を補佐する任務を負う。労働者助言員として登録されている労働者のCDDが終了する際には、雇用者は労働監督員 (inspecteur du travail)に事前報告しなくてはならず、この義務を怠ると濫用的解雇として雇用者に労働者に対する各種の損害賠償支払い義務が生じる。
外国籍企業による不法就労斡旋にフランス法が適用される条件
要旨:労働契約の当事者は契約に適用される準拠法を自由に選択することができるが、労働者が労務を提供する国の労働法の強行規定には従わなければならない。外国籍企業からフランスに一時的に派遣された従業員には、労働法L1262-4条で定められた規定以外の規定は原則的に規定されないが、その従業員の労務がフランスを対象とするものである場合、またはフランスに所在する事業所や組織において日常的、継続的かつ長期的に提供されるものである場合には、労務を提供する国であるフランスの労働法の強行法規が適用される。例えばその外国籍企業はフランス企業と同様に従業員の雇用をURSSAFに届出、社会保険料を支払わなければならず、違反した場合には不法就労斡旋の罪が成立する。

雇用契約中の配転条項の有効性と労働者の一時的な配転が不当解雇となる場合
要旨:労働者の従来の勤務地と別の地域への転勤は雇用契約の変更となり、労働者の同意が必要となる。雇用者が労働者に転勤を命じ、その労働者が転勤を拒否したことを理由して雇用者が労働者を解雇した場合には、その解雇は不当解雇となり、様々な損害賠償金の支払が命じられる。こうした事態を防ぐためにあらかじめ雇用契約中に配転条項を記載する場合には、明確に配転先を特定し、雇用者が一方的に配転先を拡大する余地を与えないものであることが必要である。近年の破棄院の判例ではフランス全土への配転を規定する配転条項も、これらの条件を満たしかつ労働者の職務から正当化される場合には有効であるとされている。

使用者の過失を理由とする労働者の辞職-不当解雇としての制裁

要旨:労働者による辞職が有効と見なされるためには、労働者が辞職の意思を明確に表明したことが必要である。たとえ書面の辞職通知を労働者が行っても、辞職の本当の理由が使用者の過失や怠慢である場合には、後日裁判所により不当解雇として扱われ、使用者に対して労働者への多額の賠償金の支払が命じられる。この過失や怠慢には人種や性別を理由とした誹謗や嫌がらせの行為、または別の労働者によるこれらの行為の許容などがあり、案件ごとに当事者が提出する具体的な証拠をもとに審査される。