新型コロナ対策措置 - 緊急法

新型コロナウイルス(Covid-19)拡散防止に向けたフランス政府の施策に伴い、現在当事務所では以下の業務を行っています。

  • 電話及び電子メールによる顧客との連絡
  • 電子メール及び電話会議による法律相談
  • 法律文書・裁判文書の作成
  • 緊急の案件に関する訴訟代理 (*下記参照)

フランスで2020年3月24日に公布された新型コロナウイルス(Covid-19)緊急対応法,及び同法の適用により閣僚委員会で採択された25のオルドナンス(政府立法)では、労働法および企業に対する公的支援の分野で多くの新しい措置が導入されています。

同法で手続が簡素化され適用範囲が広げられた、企業が労働者の経済的解雇を避けるための"一時失業"措置(chômage partiel)、及び労働者に対する給与支払いを補償し企業の活動継続を可能にするための国の公的支援や特別措置については、フランス経済省の以下のサイトで紹介されています:

Covid-19緊急対策法適用による労働法関連の規定は当サイトのQ&Aで紹介しています。

不動産法の分野では、公証人事務所における売買契約の署名日が2020年4月15日まで延期され、不動産鑑定人による価値鑑定も同様に延期となっています。

訴訟案件に関しては、裁判所の活動が緊急性の高い事案の処理に限られ、緊急性のない民商事案件の法廷が手続法廷、法廷弁論共に延期となっています。

パリ及びパリ近郊の第一審裁判所と控訴審裁判所で現在行われている手続と法廷は以下の通りです:

  • 留置措置と司法監視措置に関する刑事裁判所の法廷
  • 即時出廷措置(comparution immédiate)に関する刑事裁判所の法廷
  • 犯罪被疑者の予審判事、及び釈放・勾留判事の法廷への出頭
  • 緊急性のある事案に関する刑罰適用裁判官の法廷
  • 緊急性のある事案に関する少年裁判所の法廷(特に教育的処分)
  • 検察官による取調べ業務
  • 緊急性のある事案に関する民事の急速審理手続(レフェレ) ex. 商事物件の家主に対する危険な設備の修理工事請求等
  • 緊急性のある事案に関する家族事件判事による緊急措置 ex. 家庭内暴力における強制退去請求等
  • 民事釈放・勾留判事の法廷 ex. 強制入院措置、外国人の留置措置等
  • 少年裁判所、緊急処分手続
  • 犯罪者の拘留措置に関する予審院の法廷
  • 緊急性のある事案に関する控訴軽罪院、刑罰適用裁判官の法廷

パリ商事裁判所においては全ての本案訴訟の法廷が2020年4月17日まで延期されていますが、緊急性のある事案(ex. 破産寸前の債務者会社に対する債権回収等)に関しては商事裁判所長の元での急速審理手続(レフェレ)が通常通り可能となっています。

経済的困難にある企業の破産申告手続は裁判所書記課の電子申請システムから行うことができます。企業の経済困難防止、事業再生の手続申請も通常通り受理されています。

執行官を通じた訴状や判決の送達、強制執行手続は可能ですが、2020年3月25日のオルドナンス(政府立法)第2020-306号では、2020年3月12日から« Etat d’urgence sanitaire » (Covid-19に対応するために3月24日から2か月の期間で発せられた緊急事態宣言)の期間中プラス1か月の期間の間に終了する全ての法定手続期限は、この期間が終了してから2か月延長されると規定しています。例えば民事、商事事件で消滅時効や控訴期限が2020年4月に終了する案件では、2020年8月まで訴状の送達、控訴の提起を待つことができることになります。

この期限延長の規則は刑事事件の公訴期間や控訴期限、また民事事件で上記期間外の時期に法定期限が終了する場合には適用されません。例えば民事事件で2020年7月に消滅時効にかかる案件では訴状をそれまでに送達する必要があります。

同オルドナンスではまた第5条で、諸契約の解約や更新の期限が第1条で規定された期間(« Etat d’urgence sanitaire » 期間中+1か月)中にあたる場合には、同期間が終了してから2か月間、解約や更新の期限が延長されると規定しています。例えば賃貸借契約の更新で通知を 2020年4月までに行わなければいけない場合、2020年8月に通知の手続を行えば有効ということになります。

刑事事件に適用される刑事訴訟の規則に関しては2020年3月25日に制定された別のオルドナンス(第2020-303号)で、公訴期間が2020年3月12日から« Etat d’urgence sanitaire » 期間中と同期間が終了してから1か月の期間の間停止されること、また刑事裁判所の判決に対する控訴期限はこの間停止されず、期間が通常の期間の2倍かつ10日以上になることが規定されています。