新型コロナ対策措置 - 緊急法

新型コロナウイルス(Covid-19)拡散防止に向けたフランス政府の施策に伴い、現在当事務所では以下の業務を行っています。

  • 電話及び電子メールによる顧客との連絡
  • 電子メール及び電話・ビデオ会議による法律相談
  • 法律文書・裁判文書の作成
  • 訴訟代理 (*下記参照)

フランスで2020年3月24日に公布された新型コロナウイルス(Covid-19)緊急対応法,及び同法の適用により閣僚委員会で採択された25のオルドナンス(政府立法)では、労働法および企業に対する公的支援の分野で多くの新しい措置が導入されています。

同法で手続が簡素化され適用範囲が広げられた、企業が労働者の経済的解雇を避けるための"一時失業"措置(chômage partiel)、及び労働者に対する給与支払いを補償し企業の活動継続を可能にするための国の公的支援や特別措置については、フランス経済省の以下のサイトで紹介されています:

Covid-19緊急対策法適用による労働法関連の規定は当サイトのQ&Aで紹介しています。

不動産法の分野では、2020年4月3日に採択された政令により公正証書の署名を電子署名で行うことが認められたため、売買契約の署名を公証人事務所外で行うことが可能となりました。

訴訟案件に関しては、2020年4月27日より裁判所の活動が再開しています。

パリの大審裁判所では、2020年3月16日から2020年6月24日までに予審が終了する民事訴訟の案件は全て口頭弁論が取り消されています(2020年3月25日のオルドナンス第2020-304号第8条)。裁判所は従って当事者の弁護士が提出する裁判文書のみから案件を審査し、判決を下すことになります。

大審裁判所の執行裁判官のもとでの保全手続申請は当事者が提出する申請書と証拠書類のみの審査により決定が下されます。不動産の強制売却手続では法廷弁論は2020年9月まで延期されています。

それ以外のパリ大審裁判所における非対審手続(知的財産侵害品差押申請手続等)も同様に当事者が提出する申請書と証拠書類のみの審査により決定が下され、口頭弁論は一切中止されています。

緊急性のある事案や法律問題がない権利関係の明らかな事案に関しては通常通り裁判所長の元での急速審理手続(レフェレ)の法廷が開かれていますが、特殊なレフェレ、例えば知的財産侵害差し止め請求や報道被害、労働問題、建築の瑕疵等に関する事案については当事者の弁護士が提出する書面の審査により口頭弁論なしで判決が下されます。

パリ商事裁判所においては、本案訴訟の法廷が従来通り開かれていますが、担当判事の判断によりビデオ会議による法廷が可能となっています。

緊急性のある事案に関しては商事裁判所長の元での急速審理手続(レフェレ)が通常通り可能です。

経済的困難にある企業の破産申告手続は裁判所書記課の電子申請システムから行うことができます。企業の経済困難防止、事業再生の手続申請も通常通り受理されています。

2020年3月25日のオルドナンス(政府立法)第2020-306号では、2020年3月12日から« Etat d’urgence sanitaire » (Covid-19に対応するために3月24日から2か月の期間で発せられた緊急事態宣言)の期間中プラス1か月の期間の間に終了する全ての法定手続期限は、この期間が終了してから最高2か月延長されると規定しています。

例えば民事、商事事件で消滅時効や控訴期限が2020年4月1日に終了する案件では、2020年6月24日から約3週間(=2020年3月12日から4月1日までの日数に対応する期間)の間に、訴状の送達、控訴の提起を行うことができることになります。

この期限延長の規則は刑事事件の公訴期間や控訴期限、また民事事件で上記期間外の時期に法定期限が終了する場合には適用されません。例えば民事事件で2020年7月に消滅時効にかかる案件では訴状をそれまでに送達する必要があります。

同オルドナンスではまた第5条で、諸契約の解約や更新の期限が第1条で規定された期間(« Etat d’urgence sanitaire » 期間中+1か月)中にあたる場合には、同期間が終了してから2か月間、解約や更新の期限が延長されると規定しています。例えば賃貸借契約の更新で通知を 2020年4月までに行わなければいけない場合、2020年8月に通知の手続を行えば有効ということになります。

刑事事件に適用される刑事訴訟の規則に関しては2020年3月25日に制定された別のオルドナンス(第2020-303号)で、公訴期間が2020年3月12日から« Etat d’urgence sanitaire » 期間中と同期間が終了してから1か月の期間の間停止されること、また刑事裁判所の判決に対する控訴期限はこの間停止されず、期間が通常の期間の2倍かつ10日以上になることが規定されています。

これらの規定は2020年5月11日法(第2020-546号)による« Etat d’urgence sanitaire »の2020年7月10日までの延長とは関係なく適用されます。従って2020年3月25日のオルドナンス第2020-306号による法定手続期限の中断は、3月24日から6月24日までの期間で変わりません。