民法・国際私法

当事務所では国際私法、特に複数の国の法律が関係する家族法、相続法、租税法関連の助言、訴訟代理を行っています。

Our Services

夫婦財産制の選択における助言、夫婦財産制契約の交渉における補佐
夫婦財産制、離婚、相続に適用される法律に関する助言
離婚における夫婦の財産関係に関する助言
資産承継プランニング、贈与に関する助言、契約書の作成
家族的な不動産民事会社(« SCI familiale »)の設立
慣習証明書作成
共有物分割、遺産分割手続における補佐
外国裁判所の判決執行手続の補佐
共有名義不動産の共有者間の紛争における助言と訴訟代理
国際租税法に関する助言

Q&A

亡くなる際にフランスが「常住地」だった場合には、相続手続にフランス法が適用されます(相続分野での裁判管轄、適用法、判決の承認と執行、公正証書の受諾と執行に関する2012年7月4日規則650/2012号第21条)。

フランス法では子供が4人の場合、子供の遺留分は75%とされています(フランス民法913条)。従って資産の25%に関してのみ、妻を財産受贈者とすることができます。

フランスで子供を相続排除するためには、生命保険での資産形成がよく利用されます。フランス法では保険金は遺留分の対象にはなりません(フランス保険法L 132-13条)。

子供を相続排除するためにはまた、夫婦財産制を完全共有制(communauté universelle)に変えることができます。
夫婦財産制の変更手続は公証人のもとで行いますが、公正証書に「死亡配偶者の全資産は生存配偶者に帰属する」という条項を加えます。この場合、生存配偶者が亡くなるまで子供は遺産を相続しません。

亡くなられた後、子供達が、父親の「常住地」がフランスであったとして、相続にフランス法を適用し(規則650/2012号第4条)、遺留分に当たる遺産を取り戻すための訴訟(「遺留分減殺訴訟」)を提起する可能性があります。

ニューヨークで作成された遺書により財産受贈者となった妻が、フランス裁判所で子供達の請求を却下させるためには、夫の「常住地」がニューヨークであったことを証明する必要があります。フランス裁判所は、故人の生活状況を亡くなる数年前に遡って審査し、特に遺書が作成された国に滞在した期間、主要な資産がどの国にあるか、その国で職業を営んでいたか否か、などの事情から、故人の「常住地」がどの国であるかを判断します(破棄院第一院、2019年5月29日判決、上告番号18-13383)。

フランスの最高裁に相当する破棄院の判例では、フランス法で強行法規とされる遺留分に関する民法の規定は、「国際私法上の強行法規」ではないとされています(破棄院第一院、2017年9月27日判決、上告番号16-13151、16-17198)。
すなわち、フランス法で定められている遺留分の規定がない外国の法律も、相続で適用されることが認められています。

本件で故人の「常住地」がニューヨークであったと判断される場合には、フランス裁判所は管轄権を否定し、子供達の請求を却下します。

逆に裁判所が故人の「常住地」がフランスであったと判断する場合には、フランス裁判所は相続手続にフランス法を適用するため、4人の子供は75%の遺留分を与えられ、妻はその残り25% のみ受贈者となることができます(ナンテール大審裁判所2019年5月28日決定)。

別産制でも、夫婦の結婚生活で必要になる費用は夫婦それぞれがその支払能力に応じて支払う義務があります。ローンで返済した額が支払能力を超えていたことを証明しない限り、返済分は離婚時に取り戻すことはできません(破棄院第一院、2018年4月11日判決、上告番号17-17457)。

共有制の場合には結婚中に得た給与や報酬は共有財産となるので、そこから支払ったローンの返済は取り戻せません。
一方贈与や相続で得た資産など、固有財産を使ってローンを返済した場合には、夫婦財産制清算手続の中で、「共有財産の報奨金」(récompense)として取り戻すことができます(フランス民法1433条)。

共有財産を分割する時点におけるアパートの価値の割合で計算されます(フランス民法1469条)。
例えば当初のアパートの購入代金が300 000ユーロで、遺産を使って30 000ユーロ出資した場合、アパートが今日500 000ユーロで売れたとすると、取り戻す「報奨金」の額は実際に出資した額30 000ユーロではなく50 000ユーロとなります。ただしアパートの権利書に売価が夫婦の一方の個人資産から出資されたことが記載されていない場合には取り戻せません。

現在夫婦がフランスに居住しているか、または夫婦の一方がフランスに居住していなくても他方がフランスにまだ居住している場合には可能です。
婚姻、親権に関する係争の裁判管轄、判決の承認と執行に関する2003年11月27日規則2201/2003号(« Bruxelles II bis »規則)は、第3条で「配偶者の定住地」という一般原則を置いています。

« Bruxelles II bis »規則の第3条は適用されませんが、配偶者の一人がフランス国籍を持つ場合にはフランスで離婚が可能です(フランス民法第14条)。

フランスの国際私法の規則では、夫婦財産制に適用される法律がどの国の法律かを決めるうえで、「最初の定住地」という概念があります(夫婦財産制の適用法に関する1978年3月14日ハーグ条約第4条、2019年1月29日以前に婚姻した夫婦に適用)。

本件では夫婦の最初の定住地が日本なので、夫婦財産制は日本の法定財産制である別産制となり、フランスで離婚する場合には、フランスの裁判所は日本民法の規定を適用して夫婦財産制を清算することになります。

日本法では、夫婦どちらかの単独名義であることがはっきりしない場合、夫婦共有であることが推定されるため(日本民法762条第3項)、本件のパリのアパートは共有財産として、離婚の際に夫婦間で権利が折半されます。固有財産から支払った費用を共有財産の売価から取り戻すことを希望する場合には、離婚から2年以内に裁判所に財産分与を請求する必要があり(日本民法768条)、裁判所は当事者のそれぞれのおかれた事情、特に経済状況を審査し、請求を認めるか否かを決定します(日本民法768条第3項)。

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