契約法・民商事争訟

Our Services
独占的流通では、メーカーやサプライヤーは契約で特定される一定の地域における自社製品の販売権を一つの販売店にのみ与えます。
一方、選択的流通では、メーカーやサプライヤーは店舗の外観や格調、スタッフの能力や専門知識といったサービスの質に関する客観的な基準に基づいて販売店 (「正規販売店(distributeur agréé)」) を選定します。
独占的販売店契約(専売店契約)では、販売店は独占権のある地域において他社との価格競争を避けることができ、その分メーカーの製品販売活動を積極的に行う意欲が高まるというメリットがあります。
独占的販売店契約ではまた販売店が一つであることから、メーカーやサプライヤーは自社商品のブランドイメージを統一することができ、品質の管理がより容易になるというメリットがあります。適用される法制度を販売店が遵守していることをメーカーが管理、監督する必要がある機械業、テクノロジー、医療の分野で広く用いられている販売店契約の形態です。
独占的流通のデメリットはまず販売店がメーカーやサプライヤーに対して経済的に依存する状況を生み出すことにあります。
またフランスでは販売店の業績が悪い場合でも販売店契約を一定の予告期間なしに解約することができないため(:継続的取引関係の終了における予告期間なしの解約禁止、商法第L442-1条II項)、メーカーやサプライヤーは解約を販売店に予告した後、数か月間売上高が大きく減少するというリスクがあります。
メーカーやサプライヤーが販売店に対して最低再販売価格または固定再販売価格を課すことは、厳格に禁止されています。この禁止にメーカーやサプライヤーが違反した場合、最高15,000ユーロの罰金に処されます(商法L442-6条)。また、当該行為が不公正な拘束条件付取引にあたると判定された場合には(商法L420-1条)、メーカーやサプライヤーは最高、当該行為の事業年度に先立つ事業年度で最も売上高が高い年度の世界における売上高の10%に相当する罰金に処されます(商法第L464-2条)。
一方、メーカーやサプライヤーが販売点に対して最高再販売価格または推奨価格(希望小売価格)を定めることは認められています。
また、メーカーやサプライヤーは販売店に対して、所定の期間内に販売店が発注または販売する最低数量(最低注文数量・販売数量)または金額を課すことができます。ただし契約中の条項が無効とされないためには、予定数量が妥当かつ現実的なものであることが必要です。
可能です。ただし、メーカーやサプライヤーと販売店の市場占有率(マーケットシェア)が30%を超えず、競合他社製品の販売禁止期間が5年を超えない必要があります(欧州連合の機能に関する条約(TFEU)第101条第3項の適用に関する2022年5月10日EU規則第2022/720、第2条、第5条)。
メーカーやサプライヤーは販売店(選択的流通の正規代理店、独占的流通の専売店を問わない)に対してインターネット上での販売を禁止することはできません。
メーカーやサプライヤーによるネット販売の禁止は拘束条件付取引として商法第L420-1条に定められた不公正取引に当たるとされ、最高、当該行為の事業年度に先立つ事業年度で最も売上高が高い年度の世界における売上高の10%に相当する罰金に処されます(商法第L464-2条)。
フランスの公正取引委員会である競争委員会(Autorité de la concurrence)はインターネット上での販売を販売店に禁止したマリヤージュ・フレール社に400万ユーロ、ロレックス社に9,160万ユーロの罰金を科す決定を2023年12月に下しています(2023年12月11日の判決(第23-D-12号)及び2023年12月19日の決定(第23-D-13号))。
本部事業者は、フランチャイズ契約の締結の少なくとも20日前までに、将来の加盟店に対し、「契約前情報文書(DIP)」と呼ばれる書類(日本の法定開示書面)を提出する義務があります(商法第L330-3条)。
商法第R330-1条では、契約前情報文書に記載が義務づけられている事項を以下の通り規定しています: (i) 事業者の概要 (ii) 使用される商標・商号 (iii) 取引先銀行の口座 (iv) 事業者の財務状況(過去2事業年度の年次決算書を添付) (v) 加盟店ネットワーク (vi) フランチャイズ契約の期間、更新、解約および譲渡の条件。本部事業者がフランチャイズ契約の締結の20日前までに本文書を加盟予定点に提出しない場合には、最高7500ユーロの罰金に処されます(商法第R330-2条)。
事業主が提供した情報が不完全または虚偽であった場合、加盟店は裁判所で合意の瑕疵(詐欺)を理由にフランチャイズ契約の無効取消請求を行うことができます。
管轄裁判所は地方裁判所ですが、加盟店は訴訟を提起するにあたり、被告となる本部事業主の所在地の裁判所(民事訴訟法第42条)と、フランチャイズ契約の履行地(=加盟店の所在地)の裁判所(民事訴訟法第46条)のいずれかを選択することができます。
加盟店はまた、営業上の損失や投資の毀損により経済的損害を被った場合、本部事業者の過失(詐欺)と損害額、過失と損害の間の因果関係を証明して損害賠償を請求することができます。時効は加盟店が本部事業者の詐欺を知った日から5年です(民法第2224条)。
不正競争は、事業者間の公正な競争を害する行為として罰せられるものであるため、競合他社が、特に信用毀損、フリーライド(ブランド・名声の不正利用)、取引妨害、混同惹起・模倣などを行ったことにより、顧客奪取や売上高の減少が生じたことが必要です。
不正競争を行った事業者の損害賠償責任は、民法の不法行為に関する条文(第1240条、第1241条)が根拠となるため、訴訟で原告となる被害者は、競合他社の過失、被った損害、および過失と損害との間の因果関係を立証する責任があります。
従って競合他社に不正行為の停止を求める警告状を送る前に、競合他社が不正行為の証拠を抹消しないよう、証拠を保全・確保することが必要です。
EC取引分野における不正競争としては、架空の顧客レビューによる誹謗中傷、ウェブサイトのデザインを模倣することによる寄生行為、および他社の製品を模倣した商品の販売によって生じる混同惹起があります。こうしたインターネット上の不正競争行為の証拠を保全するためには、執行官による確認手続 (constat Internet) が一番有用です。
過失を立証するために必要な証拠が競合他社のもとにあり、被害者が自ら入手できない場合には、民事訴訟法第145条のレフェレの手続で、書類の強制提出または差し押さえを地方裁判所の裁判所長に対して請求することができます。原告となる被害者は被告の居住地を管轄する裁判所(民事訴訟法第42条)、または損害が発生した場所を管轄する裁判所(民事訴訟法第46条)のいずれかを選択してレフェレの訴訟を提起ことができます。
不正競争の被害者は以下の3つの要素を考慮して損害額を立証する必要があります:(i)損失額(不正競争を停止させるためにかかった費用)、(ii) 逸失利益(売上高の減少、 不正競争が行われた期間中の利益率の低下、顧客の減少)(iii)精神的損害(企業のイメージおよび評判への毀損)。
損害額の算定と立証が難しい場合には、民事訴訟法第145条のレフェレの手続で、司法会計鑑定を地方裁判所の裁判所長に対して請求することができます。この場合、裁判所長が任命する鑑定人(管轄の控訴院に登録されている公認会計士)が損害額を算定する報告書を提出し、原告である被害者の弁護士はそれを基に本案訴訟の訴状の中で損害賠償を請求します。
フランス商法、L442-1条II(旧L. 442-6, I, 5°)で、終了の際に十分な予告期間を置くことが義務づけられている継続的取引関係は、数年にわたり続いている商事取引関係を指します。
フランス商法、L442-1条IIの継続的取引関係は、売買契約だけでなく役務提供契約も含まれます。
継続的取引関係を終了する際の予告期間は、取引関係の期間と商慣習により決められますが、判例によると、取引終了の予告期間は取引期間だけではなく、終了を通知する時点での当事者の関係、例えば当事者の一方が他方に対して経済的に依存していたか、総代理店契約の有無、また終了される取引が取引を終了することで被害を受ける当事者の売上高で大きなパーセンテージを占めていたか、など様々な要素を考慮して決められ、いくつかの計算方法が判例と学説により提示されています。
2019年4月24日の政令第2019-359号以降、取引関係を終了する当事者が18か月の予告期間を守って取引関係の終了を通知していれば相手方当事者に対して損害賠償責任を負わないことが商法で規定されています。
フランス商法、L442-1条IIの規定は取引の相手方が過失を犯したために取引を終了する場合に、予告期間を置くことを義務づけるものではありません。ただしフランスの判例では、予告期間を置かずに継続的取引関係を終了するためには、契約の一方的な即時解除を正当化するほどの重大な過失の証拠があることが必要とされています(破棄院商事部、2011年5月11日判決、上告番号n°10-17844、2019年3月27日判決、上告番号n°17-16548)。
フランスの判例では、継続的取引関係の急な終了は、「明らかに違法なトラブル」とされているため(破棄院商事部、2015年6月23日判決、上告番号n°14-14687)、レフェレの急速審理手続を提起して、取引関係の一時的な継続を命じることができるとされています(破棄院商事部、2009年11月10日判決、上告番号n°08-18337、パリ控訴院、2019年1月24日判決、事件番号n°18/14599)。従って取引先のメーカーに対して、一定の予告期間の間取引の強制的継続を請求するレフェレの訴訟を提起することが可能です。
継続的取引契約を終了する予告期間中は、特別の取り決めを交わさない限り、それまでと同じ条件で取引を続ける必要があります(破棄院商事部、2015年2月10日判決、上告番号n°13-26414)。
取引先のメーカーが定められた予告期間中、関連商品の販売量を大きく縮小したり、価格を一方的に変えるなどしてそれまでの取引条件を守らない場合には、「継続的取引の突然の終了」として受けた損害の賠償を裁判で請求することができます。
予告期間を守らないで継続的取引関係を終了させると、「継続的取引の突然の終了」となり、相手方が受けた損害を賠償する義務が生じます。
「継続的取引の突然の終了」で被害を受ける代理店は、まず逸失的利益による損害の賠償を請求できます。
逸失的利益による損害は、取引終了の予告期間が守られていたならば受けなかったであろう損害のことで、フランス裁判所の判例上、月ベースで算定した代理店の過去数年の粗利益の平均値に予告期間の月数を掛けた額が損害賠償の額とされており、近年のパリの控訴審の判例では粗利益に代わって限界利益(売上高から変動費のみ減額)が基準とされる傾向があります。
被害を受ける代理店はまた、積極的損害として継続的取引が突然終了したことにより回収できなかった投資費用(例えば設備投資)や人員を解雇せざるを得ない場合の解雇手続費用などを請求することができます。ただし予告期間を守っても生じえた損害については賠償は認められません。
営業資産/営業権 (Fonds de commerce) の購入と賃借権 (Droit au bai) の購入の違いは、店舗の借主となる権利だけ買い取るか(賃借権購入)、それとも顧客、ロゴなどの知的財産、設備や営業許可など、事業に必要な資産全てを買い取るか(営業権購入)の違いです。基本的に、開業したい物件が経営しようとする事業と同じ場合には営業権の購入が、開業したい物件が経営しようとする事業と違う場合には賃借権のみの購入が行われますが、後者の場合には賃貸借契約で経営しようとする事業が認められていることが必要です。
会社譲渡とは違い、営業権の譲渡では事業を営むための資産のみが譲渡されるので、買主は売主の債務を引き継ぎません。
営業権は商人や事業家にとって一番大きな資産であるため、売主が店舗を売ってから債権者への支払いをせずに、買主が売主の債権者から連帯責任を追及されることを防ぐ見地から、フランスでは、売主に支払われる営業権の譲渡代金は売主の銀行口座に直接振り込まれず、売主の弁護士の寄託口座に譲渡代金全額が寄託(séquestre)されることが法律で義務づけられています。そして寄託の方法や寄託を受ける者の名前が譲渡契約書に必ず記載され、法定公示誌に公示されます。
営業権購入の際には必ず商事裁判所で売主の債務状況に関する書類を入手し、返済が残っている額が営業権価格より低いことを確認することが必要です。
営業資産譲渡代金の寄託期間は原則的に3か月半から5か月半です(商法第L143-21条)。この寄託期間の間に売主の債権者は代金の寄託者である売主の弁護士に対して、異議申し立て手続(opposition)の形で寄託されている譲渡代金から売主の未払い債務の支払いを受けます。
フランス労働法では、営業権を買い取る際には買主は売主の店舗で雇われている従業員の雇用契約を全て、既存の労働条件(ポスト、給与額、勤務年数) のままで引き継ぐことを義務づけています (労働法L. 1224-1条) 。この引き継ぐ雇用契約には正規の雇用契約だけではなく、パートの雇用契約や、育児休暇で休んでいる従業員の雇用契約等全ての雇用契約が含まれます。
この労働法の規定は強行法規で、営業資産の譲渡の当事者は契約で同条の適用を排除することができません。従って買主は一部、または全部の社員の雇用契約引継ぎを望まない場合には、営業権の買い取りに先立って別途、売主と特定または全ての社員の雇用契約の解除について交渉する必要があります。社員数の多い店舗の営業権を買う際には社員の解雇費用も考慮することが不可欠です。
営業権の価格を設定するうえでまず用いられるのが売主の店舗における売上高で、通常過去3年間の売上高の平均に、各業種について適用される一定の割合を掛け、価格の上限と下限が計算されます。その上で店舗の賃借権の価値-例えば家賃の額が高いか否か、商業賃貸借契約が借主に有利か否か(各種費用が家主と借主でどのように負担されているかなど)、契約期間や更新時期など-や営業資産に含まれる店舗の設備や家具の状態、常連客の数、店舗の評判、ブランド価値の高さなどに鑑みて、最終的な額が売主と買主の交渉の後に設定されます。
営業権は一定の条件のもとで賃貸することが可能です。 « Location-gérance du fonds de commerce » と呼ばれている制度で、店舗の営業権を購入するに先立って店舗の採算性を判断するためにもよく利用されています。
営業権リースの契約期間は借主と貸主である営業資産の所有者の間で自由に設定され、契約期間中借主は店舗を正しく経営し、店舗の売上高の一定の率をロイヤリティ(賃料に相当)として営業資産の所有者に支払う義務を負います。
営業権リース契約の借主は営業権の所有者ではないので、いくら店舗を正しく経営し、顧客を増やして店舗の価値を高めても、自分のものにはならず、営業権所有者のものとなります。また商業賃貸借の借主の地位は営業権所有者が有するため、営業権リース契約の借主には契約の更新権や立退補償金支払権がなく、契約で定められた期間が終了後いつでも、補償金なしで店舗から退去させられる可能性があります。
当該コンサルタントが御社の名前でフランスの顧客と弊社製品の販売契約に関する交渉、契約締結をしている場合には、代理商 (agent commercial)として法律的に位置づけられます(フランス商法L 134-1条)。
代理商との契約を終了するためには以下の予告期間を置く必要があります(フランス商法L 134-11条):
– 契約1年目の終了-1か月
– 契約2年目の終了-2か月
– 契約3年目以上の終了-3か月
予告期間を置かずに代理商との委任契約を終了する場合には、代理商は予告期間中のコミッションに相当する補償金の支払いを請求することができます。
またフランス法では代理商の不安定な地位に鑑みて、代理商契約の終了時に、代理商は委任者に対して補償金を請求することができると規定しています(フランス商法L 134-12条)。ただし代理商の過失または意思で契約が終了する場合には代理商は補償金の支払いを請求できません(フランス商法L 134-13条)。
コンサルタントは、補償金の支払いを受けるためには取引が終了してから1年以内に補償金を請求することを御社に通知する必要があります(フランス商法L 134-12条)。
法律で補償金の算定方法は規定されていませんが、2年分のコミッションに相当する額の支払いが慣習として成立しています。
瑕疵担保責任は、商品がその用途を満たさなくなる欠陥に対して適用される法定責任、一方契約不適合責任は、売主が契約で定められた目的物を引き渡す義務に違反した場合の責任です。
瑕疵担保責任は、目的物が用途に適さない場合に適用されるのに対し、契約不適合責任は、売買の目的物とと引渡された物との間に単に実質的な相違がある場合に適用されます。後者は契約不履行に関する一般法に基づく制度で前者よりも適用範囲が広いため、フランスの裁判所の判例では、商品の欠陥が契約不適合と「隠れた瑕疵」の両方を構成する場合、買主は瑕疵担保責任のみに基づいて売主の責任を追及しなければならないという原則があります。
人工関節の欠陥により受けた損害の賠償を得るためには、製造物責任に基づき、人工関節の製造業者に対して訴訟を提起する必要があります。
外科医は手術において過失を犯したことが証明される場合を除き、損害賠償責任を負いません。人工関節の欠陥により患者が受けた損害を賠償する義務は製造業者のみが負います(破棄院民事第1部、2020年2月26日判決、) 事件番号18-26.256)。
欧州司法裁判所(CJUE)は2011年12月21日の判決(C-495/10、Centre hospitalier universitaire de Besançon c/ Thomas Dutrueux、病院の温熱マットレスの欠陥による火傷)で、欠陥製品を使用する医療従事者は1985年の製造物責任指令の適用範囲から除外されるという原則を確立しています。





