商事契約・商事関連争訟

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フランス商法、L442-1条II(旧L. 442-6, I, 5°)で、終了の際に十分な予告期間を置くことが義務づけられている継続的取引関係は、数年にわたり続いている商事取引関係を指します。
フランス商法、L442-1条IIの継続的取引関係は、売買契約だけでなく役務提供契約も含まれます。
継続的取引関係を終了する際の予告期間は、取引関係の期間と商慣習により決められますが、判例によると、取引終了の予告期間は取引期間だけではなく、終了を通知する時点での当事者の関係、例えば当事者の一方が他方に対して経済的に依存していたか、総代理店契約の有無、また終了される取引が取引を終了することで被害を受ける当事者の売上高で大きなパーセンテージを占めていたか、など様々な要素を考慮して決められ、いくつかの計算方法が判例と学説により提示されています。
フランス商法、L442-1条IIの規定は取引の相手方が過失を犯したために取引を終了する場合に、予告期間を置くことを義務づけるものではありません。ただしフランスの判例では、予告期間を置かずに継続的取引関係を終了するためには、契約の一方的な即時解除を正当化するほどの重大な過失の証拠があることが必要とされています(破棄院商事部、2011年5月11日判決、上告番号n°10-17844、2019年3月27日判決、上告番号n°17-16548)。
フランスの判例では、継続的取引関係の急な終了は、「明らかに違法なトラブル」とされているため(破棄院商事部、2015年6月23日判決、上告番号n°14-14687)、レフェレの急速審理手続を提起して、取引関係の一時的な継続を命じることができるとされています(破棄院商事部、2009年11月10日判決、上告番号n°08-18337、パリ控訴院、2019年1月24日判決、事件番号n°18/14599)。従って取引先のメーカーに対して、一定の予告期間の間取引の強制的継続を請求するレフェレの訴訟を提起することが可能です。
継続的取引契約を終了する予告期間中は、特別の取り決めを交わさない限り、それまでと同じ条件で取引を続ける必要があります(破棄院商事部、2015年2月10日判決、上告番号n°13-26414)。
取引先のメーカーが定められた予告期間中、関連商品の販売量を大きく縮小したり、価格を一方的に変えるなどしてそれまでの取引条件を守らない場合には、「継続的取引の突然の終了」として受けた損害の賠償を裁判で請求することができます。
予告期間を守らないで継続的取引関係を終了させると、「継続的取引の突然の終了」となり、相手方が受けた損害を賠償する義務が生じます。
「継続的取引の突然の終了」で被害を受ける代理店は、まず逸失的利益による損害の賠償を請求できます。
逸失的利益による損害は、取引終了の予告期間が守られていたならば受けなかったであろう損害のことで、フランス裁判所の判例上、月ベースで算定した代理店の過去数年の粗利益の平均値に予告期間の月数を掛けた額が損害賠償の額とされており、近年のパリの控訴審の判例では粗利益に代わって限界利益(売上高から変動費のみ減額)が基準とされる傾向があります。
被害を受ける代理店はまた、積極的損害として継続的取引が突然終了したことにより回収できなかった投資費用(例えば設備投資)や人員を解雇せざるを得ない場合の解雇手続費用などを請求することができます。ただし予告期間を守っても生じえた損害については賠償は認められません。
当該コンサルタントが御社の名前でフランスの顧客と弊社製品の販売契約に関する交渉、契約締結をしている場合には、代理商 (agent commercial)として法律的に位置づけられます(フランス商法L 134-1条)。
代理商との契約を終了するためには以下の予告期間を置く必要があります(フランス商法L 134-11条):
– 契約1年目の終了-1か月
– 契約2年目の終了-2か月
– 契約3年目以上の終了-3か月
予告期間を置かずに代理商との委任契約を終了する場合には、代理商は予告期間中のコミッションに相当する補償金の支払いを請求することができます。
またフランス法では代理商の不安定な地位に鑑みて、代理商契約の終了時に、代理商は委任者に対して補償金を請求することができると規定しています(フランス商法L 134-12条)。ただし代理商の過失または意思で契約が終了する場合には代理商は補償金の支払いを請求できません(フランス商法L 134-13条)。
コンサルタントは、補償金の支払いを受けるためには取引が終了してから1年以内に補償金を請求することを御社に通知する必要があります(フランス商法L 134-12条)。
法律で補償金の算定方法は規定されていませんが、2年分のコミッションに相当する額の支払いが慣習として成立しています。
営業資産 (Fonds de commerce) の購入と賃借権 (Droit au bai) の購入の違いは、店舗の借主となる権利だけ買い取るか(賃借権購入)、それとも設備や店舗名、営業ライセンスなど、事業に必要な資産全てを買い取るか(営業資産購入)の違いです。基本的に、開業したい物件が経営しようとする事業と同じ場合には営業資産の購入が、開業したい物件が経営しようとする事業と違う場合には賃借権のみの購入が行われますが、後者の場合には賃貸借契約で経営しようとする事業が認められていることが必要です。
会社譲渡とは違い、営業資産の譲渡では事業を営むための資産のみが譲渡されるので、買主は売主の債務を引き継ぎません。
営業資産は商人や事業家にとって一番大きな資産であるため、売主が店舗を売ってから債権者への支払いをせずに逃げてしまい、買主が売主の債権者から連帯責任を追及されることを防ぐ見地から、フランスでは、売主に支払われる営業資産の譲渡代金は売主の銀行口座に直接振り込まれず、売主の弁護士の寄託口座に譲渡代金全額が寄託(séquestre)されることが法律で義務づけられています。そして寄託の方法や寄託を受ける者の名前が譲渡契約書に必ず記載され、法定公示誌に公示されます。
営業資産譲渡代金の寄託期間は原則的に5か月から5か月半です。この寄託期間の間に売主の債権者は代金の寄託者である売主の弁護士に対して、異議申し立て手続(opposition)の形で寄託されている譲渡代金から売主の未払い債務の支払いを受けることができます。
フランス労働法では、営業資産を買い取る際には買主は売主の店舗で雇われている従業員の雇用契約を全て、既存の労働条件(ポスト、給与額、勤務年数) のままで引き継ぐことを義務づけています (労働法L. 1224-1条) 。この引き継ぐ雇用契約には正規の雇用契約だけではなく、パートの雇用契約や、育児休暇で休んでいる従業員の雇用契約等全ての雇用契約が含まれます。
この労働法の規定は「強行法規」で、営業資産の譲渡の当事者は契約で同条の適用を排除することができません。従って買主は一部、または全部の社員の雇用契約引継ぎを望まない場合には、営業資産の買い取りに先立って別途、売主と特定または全ての社員の雇用契約の解除について交渉する必要があります。社員数の多い店舗の営業権を買う際には社員の解雇費用も考慮することが不可欠です。
営業資産の価格を設定するうえでまず用いられるのが売主の店舗における売上高で、通常過去3年間の売上高の平均に、各業種について適用される一定の割合を掛け、価格の上限と下限が計算されます。その上で店舗の賃借権の価値-例えば家賃の額が高いか否か、商業賃貸借契約が借主に有利か否か(各種費用が家主と借主でどのように負担されているかなど)、契約期間や更新時期など-や営業資産に含まれる店舗の設備や家具の状態、常連客の数、店舗の評判、ブランド価値の高さなどに鑑みて、最終的な額が売主と買主の交渉の後に設定されます。
営業資産は一定の条件のもとで賃貸することが可能です。フランス語で « Location-gérance du fonds de commerce » と呼ばれている制度で、店舗の営業資産を購入するに先立って店舗の採算性を判断するためにもよく利用されています。
営業資産リースの契約期間は借主と貸主である営業資産の所有者の間で自由に設定され、契約期間中借主は店舗を正しく経営し、店舗の売上高の一定の率をロイヤリティ(賃料に相当)として営業資産の所有者に支払う義務を負います。
営業資産リース契約の借主は営業資産の所有者ではないので、いくら店舗を正しく経営し、顧客を増やして店舗の価値を高めても、自分のものにはなりません。また商業賃貸借の借主と違い、契約の更新権や立退き補償金支払権がないので、リース契約で定められた期間が終了後いつでも、補償金なしで営業資産の所有者から退去させられる(自分が経営した店舗から立ち退かされる)可能性があります。