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会社法の判例

 

外国籍企業の取締役による業務上横領罪-属地主義の適用性
要旨:属地主義が適用される脱税、詐欺罪、背任罪、詐欺破産罪など刑法典に規定されている犯罪と異なり、商法典で一定の会社について規定されている業務上横領罪は、フランスを本社所在地とするフランス国籍の企業に適用される(属人主義)。しかし破棄院の判例では、外国を本社所在地とする外国籍の企業でも、フランス内の顧客を対象とする事業を行い、フランスに事業の窓口を有するなどその活動が実質的にフランス企業と変わらない場合には、事実上のフランス企業であるとして、業務上横領を行った外国企業の取締役にフランス裁判所の刑罰権を及ぼす原則が打ち出されている。この原則適用の代表例がエルフ・アキテーヌ社取締役による汚職事件の裁判である。

取締役の民事責任が成立する要件- 職務から切離される過失の概念

要旨:会社の取締役が法律や規則、または定款の規定に違反したり会社の管理業務を行う上で過失を犯して会社や第三者に損害を与えた場合には、損害を受けた会社、会社の株主、または第三者に対して民事、刑事的な責任を負う。取締役の民事責任は民法の不法行為の枠で追及されるため、取締役本人の責任を追及しようとする被害者は取締役の過失、自分の受けた損害そして過失と損害の間の因果関係を証明しなければならないが、フランス破棄院の判例では、取締役が個人的な損害賠償責任を負う業務上の過失の概念について第三者が取締役に損害賠償を請求する場合と会社の株主が個別的に損害賠償を請求する場合とで区別をしている。取締役が業務上の過失で第三者に損害を与えた場合に、損害を受けた第三者が会社に損害を賠償するのに十分な資産がなく取締役本人の責任を追及するためには、その取締役の業務上の過失が「職務から切り離される過失」であることを証明しなければならず、会社の第三者に損害を与えた取締役の業務上の過失が通常の職務遂行の範囲内である場合には、会社のみが損害賠償責任を負う。

少数派株主が請求する会社の経営監査鑑定ー経営鑑定と予防鑑定の違い

要旨:有限会社や株式会社の少数株主は、大株主による会社の経営が少数株主や会社の利益を害している場合や、会社の 経営が不透明で不信を抱く場合に、裁判所に対し経営監査のための鑑定を申請することができる。この鑑定には経営鑑定と呼ばれる手続と予防鑑定と呼ばれる手続の2つがあるが、申請の際にはそれぞれの鑑定の効果と法的性質、特に裁判所の判決の効果について理解した上でいずれかを選ばなければならない。経営鑑定、予防鑑定で鑑定人が作成した鑑定書は、後日株主が取締役の過失を理由に損害賠償請求訴訟を提起する際に重要な証拠となる。