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ローレックス 競争法違反:9160万ユーロ(約148億円)の制裁金

競争委員会, 判決第23-D-13, Union de la Bijouterie Horlogerie, Pellegrin & Fils v. Rolex France

マルセイユにある宝石・腕時計専門店であるPellegrin & Filsは、ローレックスフランス社と1990年代から続いていた選択的販売店契約が15か月の予告期間を置いて解除されたことが、独占禁止法違反と継続的取引の濫用的な終了に当たるとして、2014年12月、パリ商事裁判所に訴えた。

2015年7月20日の判決で、パリ商事裁判所はPellegrin & Fils社のローレックスフランス社に対する請求を全面的に却下し、ローレックスフランス社の選択的流通チャネルは独占禁止法の規定に適っており、またローレックスフランス社とPellegrin & Fils の取引期間に鑑みて、15か月の予告期間は販売店契約の解除を行う予告期間として適切なものであると判示した。

Pellegrin & Fils社は同判決に控訴を行い、またパリ控訴院での損害賠償請求訴訟と並行して2017年1月、宝石、時計商労働組合 (Union de la Bijouterie Horlogerie) と共に原告となって、フランスの公正取引委員会である競争委員会 (Autorité de la concurrence) にローレックスフランス社の不当な取引制限の告発を行った。

2019年1月、競争委員会の報告官は、パリ地方裁判所の釈放・勾留裁判官 (juge des libertés et détention、JLDと呼ばれる) の許可のもと、ローレックスフランス社で書類の強制差押えを行い、同年8月、パリ控訴院は競争委員会の判決まで事件の審理を一時停止する決定を下した。

4年半にわたる審理の後、競争委員会は2023年12月19日の判決(23-D-13号)で、ローレックスフランス社が選択的販売店に対しインターネット上での商品販売を禁止することは、EU競争法で禁止されている垂直的取引制限にあたり、ローレックスの競争企業がインターネット上での商品販売を禁止していない以上、偽造品の販売や並行輸入の防止という目的では正当化できないとし、ローレックスフランス社に対し、親会社であるローレックス・ホールディングス社、ハンス・ウィルスドルフ財団と、ローレックス株式会社と連帯して、ローレックス社の世界での売上高10%に相当する9160万ユーロ(日本円約148億円)の罰金を支払うよう命じた。

競争委員会の判決は判決が通達されてから1か月の控訴期間があり、ローレックスフランス社が控訴を行う場合にはパリの控訴院が再度案件を審理して数年後に判決を下すことになるが、控訴には競争委員会の判決の執行を差し止める効果がないため、ローレックス社は近日9160万ユーロをフランス当局に支払う義務がある。

 

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